第2章 暗号 2-1
共通鍵暗号とは?鍵配送問題とAESまで図解
暗号化と復号に同じ鍵を使う「共通鍵暗号」を、基本用語から順に説明します。動画(約5分)と同じ内容を、記事でも読めるようにまとめました。
暗号の基本用語
元のデータを平文(ひらぶん)、第三者が読めない形に変えたデータを暗号文と呼びます。平文を暗号文に変えることが暗号化、暗号文を平文に戻すことが復号です。
暗号化と復号には「アルゴリズム」と「鍵」を使います。アルゴリズムは変換の手順で、一般に公開されています。秘密にするのは鍵だけです。つまり、暗号の安全性は鍵を秘密に保てるかどうかで決まります。

共通鍵暗号のしくみ
共通鍵暗号では、送信者と受信者が同じ鍵を持ちます。送信者はその鍵で暗号化して送り、受信者は同じ鍵で復号します。暗号化と復号に同じ鍵を使うことから、対称鍵暗号とも呼ばれます。
「秘密鍵暗号」と呼ばれることもありますが、公開鍵暗号でいう「秘密鍵」とは別の意味です。混同しないようにしましょう。
長所は、処理が速いことです。大量のデータや通信そのものの暗号化に向いています。
弱点① 鍵配送問題
受信者が復号するには、送信者と同じ鍵が前もって必要です。ところが、その鍵をインターネットでそのまま送ると、途中で盗み見られるおそれがあります。鍵を盗まれれば、その後の暗号文はすべて読まれてしまいます。
鍵を暗号化して送ろうとしても、その暗号化に使う鍵をまた渡さなければなりません。このように、鍵を安全に配る方法がないという問題を鍵配送問題といいます。

弱点② 必要な鍵の数
共通鍵は、通信する2人の組ごとに別々に用意します。AさんとBさんの鍵をCさんも持っていると、Cさんにも内容を読まれてしまうからです。
4人なら2人の組み合わせは6通りで、鍵は6個必要です。一般に n 人が互いに通信するには n(n−1)/2 個の鍵が必要です。100人なら4,950個になり、人数が増えるほど鍵の管理は大変になります。

代表的なアルゴリズム
| 方式 | 特徴 | 状況 |
|---|---|---|
| DES | かつての米国標準。鍵が56ビットと短く、総当たりで解読できる | 使わない |
| トリプルDES | DES を「暗号化→復号→暗号化」の順に3回かける | 移行の対象 |
| AES | 128ビットのブロック単位で暗号化。鍵長は128/192/256ビットで、鍵が長いほど段数が10/12/14段と増える | 現在の標準 |
| Camellia | 日本で開発。AES と同等の安全性で、電子政府推奨暗号リストに掲載 | 現役 |

過去問にチャレンジ
出典:平成29年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問1
AES の特徴はどれか。
- ア 鍵長によって,段数が決まる。
- イ 段数は,6段以内の範囲で選択できる。
- ウ データの暗号化,復号,暗号化の順に3回繰り返す。
- エ 同一の公開鍵を用いて暗号化を3回繰り返す。
答えと解説を見る
正解はアです。AES は鍵の長さ(128/192/256ビット)によって、処理を繰り返す段数が10/12/14段と決まります。イは段数の範囲が違います。ウはトリプルDES の説明です。エは公開鍵を使うとしている点が誤りで、AES は共通鍵暗号です。
まとめ
- 共通鍵暗号は、暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。処理が速い。
- 弱点は、鍵配送問題と、人数が増えると鍵の数が n(n−1)/2 個に増えること。
- 現在の標準は AES。DES は鍵が短く使われない。
次回は「ブロック暗号とストリーム暗号」です。
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